・トレーニングの質を上げたい
・筋肥大を目的としてトレーニングをしたい
・効率よく効果的に筋肉を鍛えたい
この記事では、そんなお悩みを解決します!
「筋肉と会話をする」
トレーニング経験者なら一度は聞いた事がある言葉かと思いますが、実はこの言葉はオカルトやおまじないの類のものではなく、実際に効果が証明されています。
それは、トレーニングを行う際に、対象としている筋肉に意識を集中させることでトレーニングの効果を向上させる「MMC(マインドマッスルコネクション)」のことです。
今回は、そんなMMCの概要やメリット、練習方法、注意点、科学的根拠などについて解説します。
ぜひ参考にしてみてください。
もくじ
MMCとは?

MMC(マインドマッスルコネクション)とは、「脳と筋肉を接続する」という意味で、トレーニングを行う際に、対象としている筋肉に意識を集中させることでトレーニングの効果を向上させるという考え方です。
実はこのマインドマッスルコネクションに関しては、世界中で研究が行われており、多くの科学的根拠をもって有効であると結論付けられています。
中には、
意識を集中させなかった場合、トレーニング効果が22%低下した。
トレーニング経験の浅い男性30名を対象に、2つのグループに分けて週3日アームカールを8〜12レップ4セット行いました。片方のグループにはテクニックとマインドマッスルコネクションを意識させ、もう片方にはテクニックの指導のみを行った。8週間後に効果を検証したところ、マインドマッスルコネクションを意識したグループは、意識しなかったグループと比較して、上腕二頭筋の成長がほぼ2倍認められた。
というような報告もあります。
トレーニング中に、対象筋に対する意識が十分ではないと感じている方は、この機会にマインドマッスルコネクションの意識を高めるよう心掛けてみましょう。
MMCのメリット

トレーニングメニューによっては効果を感じにくいものもありますが、具体的には下記のような効果が望めます。
1.狙った部位の鍛え方が分かるようになる
2.トレーニングの効果が向上する
3.細かな気づきを得られる
それぞれについて詳しく解説します。
狙った部位の鍛え方が分かるようになる

例えば、足の筋肉を意識しながらスクワットをすると、「腰を下ろし切る直前で足が熱くなる」「立ち上がりきったら足を全然使っていない」など筋肉に負荷がかかるポイントに気づきます。
そうすることで、徐々にトレーニングの動作が最適化され、狙った部位に効かせられるようになります。
トレーニングの効果が向上する

MMCを意識してトレーニングすると、狙った筋肉が活性化します。(参照:Effects of Specific Exercise Instructions on Abdominal Muscle Activity During Trunk Curl Exercises)
同じメニューであっても、トレーニング効果が高くなるのです。
同じ時間を使うなら、効果が高くなる方法を選ばない理由はありません。
細かな気づきを得られる

MMCを意識すると、自分のトレーニングの足りない部分が分かってきます。
例えば、
・フォーム
・扱う重量
・1セットで行う回数
・動作の速度 など
筋肉の動きを意識すると、筋肉に効かせるための適切な動作など、回数をこなすだけのトレーニングでは気づかないことが多く存在します。
MMCの練習方法

「脳と筋肉を接続する」と言葉で言うのは簡単ですが、実際にその感覚を身に付けるためにはトレーニングが必要です。
こちらでは、推奨されているトレーニング方法を紹介します。
1.ポージング
2.鏡を見ながら動作をする
3.アイソメトリックホールド
それぞれについて詳しく解説します。
ポージング

自分が意識した筋肉をコントロール出来るようになるためのトレーニングです。
あくまで筋肉をコントロールする為のトレーニングなので、コンテスト出場者のような高度なテクニックは必要ありません。
鏡を見ながら、自分の意識した筋肉に力を入れるという動作を繰り返し行います。
そうすることで、対象とする筋肉をコントロールする感覚が養われていきます。
まずは大胸筋や上腕二頭筋等の意識しやすい筋肉を対象に、力を入れたり抜いたりを繰り返して、コントロール出来るようトレーニングしてみましょう。
ジムでやるのが恥ずかしい場合は入浴中などにやってみましょう。
鏡を見ながら動作をする

鏡を見ながら動作を行うことで、対象としている筋肉に意識を集中させやすくなります。
動作の序盤・中盤・終盤にかけて、筋肉の動きがどう変化するのか観察しましょう。
例えばアームカールをするとき、腕の曲げ始めと90°ほど曲げた位置では二頭筋の収縮ポイントが変わります。
各動作で筋肉がどのように動くか見て、筋肉の動きを強くイメージするようにしましょう。
ただし、種目やトレーニング環境によっては、動作中に鏡を見る事が難しい場合もあります。
そういった場合は、スマホの録画機能等を使ってインターバル中に動作を確認してみましょう。
自分が狙っている対象筋がどのように筋収縮しているのか、自分の動作に合わせて筋肉はどのように動いているのか、そういった事を視覚で確認するだけで、筋トレの質は大きく高まります。
鏡で見れない場合は、そういった方法も積極的に取り入れましょう。
アイソメトリックホールド

筋肉の活動の種類の一つに、等尺性(アイソメトリック)筋収縮という活動があります。
「等尺性(アイソメトリック)筋収縮」とは、筋が長さを変えずに張力を発揮している状態を言います。
簡単に言うと、筋肉に負荷が乗った状態をキープしている状態ということになります。
具体的にアームカールを例にご説明します。
アームカールでは、肘を曲げた状態の時に対象筋となる上腕二頭筋に力が入っている状態になり、その状態をキープさせる事がアイソメトリック収縮となります。
アイソメトリック収縮を行う事で、対象筋に負荷が乗っていることを感じやすくなります。
その負荷が乗っている感じを意識できたら、今度はその負荷が抜けないように意識しながら動作を行うことで、対象筋をコントロールする技術が養われていきます。
アームカールの場合で言えば、腕を軽く曲げた状態を数秒間キープする事で、上腕二頭筋に負荷が乗っている意識が持ちやすくなります。
そして、その負荷が抜けないようにアームカールを行う事で効果を高める事が可能となるということになります。
アームカールだけでなく他の種目でも、どういう状態の時が負荷を感じやすいのかを意識して、対象筋に負荷が乗った事を感じ取ることができたら、次はその負荷が抜けないように意識して動作をすることで筋トレの質は大きく向上します。
ぜひ意識して取り組んでみてください。
MMCを行う際の注意点

トレーニング効果の向上が十分に期待出来るマインドマッスルコネクションですが、いくつか注意点もあるので紹介します。
1.コンパウンド種目には向かない
2.高重量には向かない
3.まずは軽い重量から
それぞれについて詳しく解説します。
コンパウンド種目には向かない

コンパウンド種目とは、BIG3のような複数の関節と筋肉を同時に動かす多関節運動によるトレーニング種目のことを言います。
コンパウンド種目の場合は、単一の対象筋を意識したトレーニングよりも、全体の動作テクニックに焦点を当てた方が効果が高いという報告があります。
したがって、マインドマッスルコネクションを意識する場合は、単一の筋肉と関節の動作による単関節運動によるトレーニング種目(アイソレーション種目)で行うようにすることが望ましいと言えるでしょう。
<主なアイソレーション種目>
主な対象筋 | 種目 |
---|---|
上腕二頭筋 | ダンベルカール |
上腕三頭筋 | トライセプスエクステンション |
大胸筋 | ダンベルフライ |
三角筋 | サイドレイズ |
大腿四頭筋 | レッグエクステンション |
ハムストリング | レッグカール |
高重量には向かない

研究では、MAX重量の20~60%程度の重量で効果が高まったという報告があります。
そのため、レップ数が10回前後になる重量で行うことが望ましいです。
まずは軽い重量から

対象となる筋肉に意識を集中し過ぎるとフォームが乱れるなどの弊害もあります。
まずは、軽めの重量でアイソメトリックホールドを5秒程度行って、そこから負荷が抜けないよう動作を行うといったトレーニングをおすすめします。
慣れてきたら徐々に重量は上げていきますが、筋肉よりも関節に負担が掛かってると感じたら重量を上げ過ぎている可能性があるので、その場合は重量を落としましょう。
MMCの効果についての研究論文

マインドマッスルコネクションにどのような効果があるかを検証した研究の内容とその結果がいくつか発表されています。
こちらでは、その中から3つの科学的根拠を紹介します。
いずれもマインドマッスルコネクションによる効果が現れているため、効果を理解して取り組むことができるでしょう。
意識の変化によるターゲット部位の変化

マインドマッスルコネクションに関する興味深い実験結果があります。
実験では、被験者に以下に示す3種の異なるベンチプレスを行わせた。
・通常のベンチプレス
・大胸筋をターゲットとして意識して行うベンチプレス
・上腕三頭筋をターゲットとして意識して行うベンチプレス
この際、被験者には1RMの20、40、50、60、80%の5種の異なる重量のバーベルを使用してもらい、上記3種のベンチプレスを行ってもらった。
その結果、1RMの20~60%のウエイト重量の範囲において、ターゲットとして意識した筋肉部位がより強く活性化された。
上腕三頭筋をターゲットとして意識したベンチプレスを行った場合は上腕三頭筋がより強く活性化され、逆に、大胸筋をターゲットとして意識したベンチプレスを行った場合は、大胸筋がより強く活性化されたということです。
つまり、1RM重量の60 %程度の負荷を用いてトレーニングを行う場合(一般的な筋肥大トレーニング)、ターゲットとする部位を強く意識することによりその部位が強く活性化されることが科学的に認められたのです。
MMCによる筋肥大効果

マインドマッスルコネクションと筋タンパク質合成の関連性を強く示唆する研究報告を紹介します。
被験者に上腕三頭筋の特定部位を刺激するトレーニングを一定期間(12週間)行わせ、トレーニングのセッション毎にその部位が強く活性化していることを確認し、12週間後の測定日にその部位で筋肥大が起こっているかを調査した。
トレーニングにより強く活性化した部位において、顕著な筋肉量の増大(筋肥大)が認められた。
つまり、筋肉を強く活性化させることにより(筋肉に強く刺激を送り込むことにより)、筋肥大が促進される可能性が極めて高いという結果が得られました。
MMCの効果を決定づける調査報告

2018年に発表されたマインドマッスルコネクションにより筋肉量が顕著に増大したことを示す研究報告を紹介します。
若年男性30名を2グループに分け、一方のグループにはターゲット部位を強く意識してトレーニングを行わせ(マインドマッスルコネクショングループ)、もう片方グループにはとにかくウエイトを挙上させることに意識を集中させ(非マインドマッスルコネクショングループ)、8週間にわたり8~12レップの範囲でアームカールを行わせた。
非マインドマッスルコネクショングループの上腕サイズの増加率が6.9%であったのに対して、マインドマッスルコネクショングループの上腕サイズの増加率は12.4%となり、マインドマッスルコネクションを駆使することで筋肉量が顕著に増大することが証明された。
つまり、一般的な筋肥大トレーニング(6~12RMのウエイトを用いたトレーニング)においては、マインドマッスルコネクションにより、ターゲット部位を強く意識することでその部位が強く活性化され、結果的に筋肥大を増大させる効果があるということが断言できるようになりました。
まとめ

今回は、トレーニングを行う際に、対象としている筋肉に意識を集中させることでトレーニングの効果を向上させる「MMC(マインドマッスルコネクション)」について解説しました。
筋肥大を目的としてトレーニングをされる方には、マインドマッスルコネクションはぜひ身に付けて欲しいスキルになります。
ある程度トレーニングに慣れてきて、更なる高みを目指したいと思っているトレーニーの方はチャレンジしてみてください。
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