・身体がたるんでいく
・姿勢を保つのがつらい
・将来の怪我や病気が心配
この記事では、そんなお悩みを解決します!
女性にとって、50代は「体の曲がり角」ともいえる大きなターニングポイントです。
女性は50歳前後から筋肉量に大きな変化が生じます。
大きな要因としては閉経があげられますが、40代半ばまで維持していた筋力が、50歳前後になると徐々に減少していくと言われています。
ですが、そのような変化も筋力を維持・向上させる簡単なトレーニングを行うことで、改善することが出来ます。
そこで今回は、身体的にも精神的にも大きく変化する50代の女性に向けて、50代の女性にとっての筋トレの重要性や鍛えるべき部位、筋トレを始める前に知っておきたいポイント、自宅でできる効果的な定番メニュー、1週間のスケジュール例について解説します。
若々しく元気な身体を維持するためには、やはり日頃からの運動習慣がマスト。
簡単な筋トレやストレッチなどを取り入れながら、長生きできる健やかな身体を目指しましょう。
もくじ
何歳からでも遅くない!50代女性にとっての筋トレの重要性

50代女性においては、特に筋トレの必要性が高いといえます。
その理由は、大きくわけて3つです。
・筋肉量の低下
・閉経による体内バランスの変化
・基礎代謝の低下
それぞれについて詳しく解説します。
筋肉量の低下

下のグラフは、女性の年齢に伴う筋肉量の推移を表したものです。

(参考:老年医学会「日本人筋肉量の加齢による特徴」 )
グラフを見てわかる通り、女性は「45~54歳」を境に筋肉量が大きく低下し始めます。
また、女性は男性に比べると筋肉が付きにくいため、より筋肉量が低下しやすい傾向にあります。
閉経による体内バランスの変化

50代は女性にとって身体が大きく変化する時期です。
その理由は、閉経を迎えるため。
閉経前後になると、女性ホルモン「エストロゲン」がほとんど分泌されなくなります。
それまで女性の身体はエストロゲンの分泌によって、自律神経や免疫のバランスを保っていました。
そのためエストロゲンが欠乏すると体内のバランスが大きく崩れ、更年期によるさまざまな症状が現れます。
その一つが、筋肉量の低下です。
閉経を迎える平均年齢は50.5歳。
つまり閉経を迎える50代は、女性にとって筋肉のターニングポイントといえます。
基礎代謝の低下

若い頃に比べて「食事量は変わっていないのにどんどん太っていく」「食べる量を減らしているはずなのに体重が減らない」と感じている人も多いのではないでしょうか。
その理由は、加齢によって「基礎代謝」1が低下するためです。
厚生労働省が報告した、年代別の基礎代謝基準値を見ても、年齢を重ねるほど低下していることがわかります。(※基礎代謝基準値は、基礎代謝量と平均体重から算出した数値)

(参考:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書)
以上のような、身体の衰えを防ぎ健康的な身体を維持するためには、日々のトレーニング習慣がマストなのです。
50代女性が鍛えるべき場所について

では、具体的にどこの筋肉を鍛えればより効果的なのでしょうか。
以下のグラフを見てわかる通り、上半身の筋力はそこまで大きく低下しません。
加齢に伴う筋力の低下が最も激しいのが、下半身の筋力です。

(グラフ参考:老年医学会「日本人筋肉量の加齢による特徴」)

(グラフ参考:老年医学会「日本人筋肉量の加齢による特徴」)
そのため50代女性が特に鍛えたいのが、次の下半身の筋肉です。
・大殿筋
・大腿四頭筋
・ハムストリングス
この三つの筋肉には共通点があり、筋トレをすることによって次のような効果が期待できます。
・大きい筋肉であるため、基礎代謝の向上が期待できる
・抗重力筋2であるため、美しい姿勢がキープできる
・下半身が安定するため、立っていても疲れにくくなる
・年齢を重ねてもパンツスタイルがかっこよくきまる
筋トレを始める前に知っておきたい7つのポイント

まず、筋トレ初心者が知っておきたいポイントやコツを7つ紹介します。
これから筋トレを始めようと考えている人は、ぜひ参考にしてください。
1.筋トレ前後にストレッチをする
2.鍛える目的や部位を把握する
3.生理周期に合わせて無理なく筋トレをする
4.負荷をかけすぎないようにする
5.とりあえずやってみる
6.鍛えた後は筋肉を休ませる
7.バランスの良い食事をとる
それぞれについて詳しく解説します。
筋トレ前後にストレッチをする

筋トレ前後のストレッチは、筋トレのパフォーマンスを向上させるだけでなく、怪我を予防するためにとても重要です。
筋トレ前に筋肉や股関節を十分に伸ばすことで、柔軟性を向上させ、体を温める効果が期待できます。
また、筋トレ後のストレッチには、筋肉の疲労回復や緊張した心身をリラックスさせる役割があります。
ただし、筋トレ前と後では適したストレッチのやり方が異なります。
筋トレ前は、股関節や筋肉を大きく動かしたり反動をつけたりといった可動域を広げる動的ストレッチを短時間行います。
筋トレ後は、時間をかけて筋肉や関節をゆっくりと伸ばし、リラックスしてクールダウンできる静的ストレッチをしましょう。
鍛える目的や部位を把握する

筋トレは何も考えずにやると、せっかくのトレーニングの効果が薄れてしまいます。
筋トレで意識するポイントは、鍛える目的や部位をしっかりと把握することです。
まず、筋トレを始めるにあたって「なぜ鍛えたいのか」目的を明確にしておきましょう。
一般的に、筋トレを始めて効果を実感できるのは早くて3ヶ月後と言われており、短期間トレーニングをするだけでは効果は期待できないため、継続的にコツコツと筋トレを行わなければなりません。
モチベーション維持のためにも、筋トレを行ってどうなりたいか(運動不足を解消したい、痩せたい、身体を大きくしたいなど)を具体的にイメージし、そのイメージに近づくために必要なトレーニングを行います。
また、鍛える部位もしっかりと把握しましょう。
例えば、ヒップアップを目指すならお尻や下半身の筋肉など、バストアップを目指すなら胸周りや上半身の筋肉などの、鍛えたい部位の筋肉を意識しながら筋トレをするのが効果を高めるコツです。
生理周期に合わせて無理なく筋トレをする

生理前や生理中に不調が起こりやすい方は、月経周期に合わせてトレーニングメニューを変えるといいでしょう。
人間には、効率的に脂肪が燃える時期とそうでない時期があるため、女性の場合は、「生理終了から排卵までの約7日間」の時期に筋トレを増やすことがおすすめです。
特に、排卵日直前は筋肉量が増えやすいホルモンバランスになります。
そのため、いつもよりも運動量を増やすことで筋肉量が増えて、より脂肪燃焼効果も期待できます。
逆に、生理前や生理中は心も身体も不安定になりやすい時期です。
生理前や生理中は、筋トレは簡単かつ短い時間で、ストレッチやヨガといったゆったりできる運動を取り入れるのがおすすめです。
負荷をかけすぎないようにする

初心者の方はまず負荷の少ないメニューやレップ数、セット数からスタートして、徐々に負荷を増やしていきましょう。
はじめから自分のレベルに合っていない大きな負荷をかけてしまうと怪我のリスクが高まります。
また、無理に負荷をかけるとモチベーションを維持できず、挫折する原因にもなってしまいます。
そのため、はじめのうちは自分にとって少しだけキツい負荷をかけるようにするのがおすすめです。
また、長時間筋トレをしようと張り切ってしまうのも良くありません。
女性が引き締め効果を期待して行う場合の負荷は、15~20回×3セット程度から始め、1回の筋トレは30分程度にすると良いでしょう。
とりあえずやってみる

筋トレをやる前は「めんどくさいな」と感じていても、やり始めるとテンションが上がってそのままやり切れてしまうことが多いです。
これは身体に負荷をかけることで興奮作用のあるアドレナリンなどのホルモンが出るため。
したがってスケジュールに筋トレを組み込んだのであれば、気持ちが乗らなくても10分でもいいのでとりあえずやってみましょう。
気持ちが上がってこなければそのままやめてしまっても問題ありません。
毎回のトレーニングで完璧を求めず、少しでもトレーニングをすることに重点をおきましょう。
鍛えた後は筋肉を休ませる

筋トレにおいて休息は、トレーニングと同じくらい大切です。
「超回復」といって、負荷や刺激を受けた筋肉の一部が破壊された後、それを休息や睡眠によって修復させるのです。
超回復には24~72時間程度かかると言われています。
休息の目安として、少なくとも筋肉痛が残っている部位のトレーニングは控えるようにしましょう。
そのため、筋トレ初心者は毎日筋トレをするのではなく、週3回程度から始めるようにすると良いでしょう。
また、同じ部位ばかり筋トレするのではなく、曜日ごとに違う部位を鍛えるスケジュールを組むのもおすすめです。
バランスの良い食事をとる

筋トレの効果を上げるには、バランスの良い食生活を心掛けることも大切です。
筋トレをしている場合、一番大事なのは筋肉の材料となるタンパク質。
また、筋肉合成にはビタミンCやビタミンB群、亜鉛なども必要となるため、高タンパクな食材を意識するとともに、ビタミンやミネラルなどの栄養バランスにも注意してください。
筋肉を大きくするゴールデンタイムであるトレーニング直後には、素早く筋肉まで栄養を届けられる吸収の良いプロテインがおすすめです。
50代女性におすすめの自宅でできる定番メニュー6選

「今さら運動しても意味ないのでは…」と尻込みしてしまう方も多いですが、しっかりトレーニングをすれば50代以降でも筋肉量を増やすことが可能です。
「いつまでも若々しく、健康でいたい」「毎日を前向きな気持ちで過ごしたい」と考えている方は、今から少しずつ運動習慣を身につけていきましょう。
今回は、50代女性におすすめの自宅でできる定番メニューを6つ紹介します。
1.【お腹まわり】シットアップ
2.【胸】プッシュアップ
3.【二の腕】リバースプッシュアップ
4.【体幹】プランク
5.【お尻】ヒップリフト
6.【太もも】スクワット
筋力アップだけでなく、ダイエットやストレス解消にもつながるのでぜひ実践してみてください。
シットアップ
シットアップとは、仰向けの状態から上体を起こしていく腹筋のトレーニングで、腹直筋などの腹筋群を鍛えることができる種目です。
1. 仰向けになり、膝を曲げます。両手は後頭部へ。
2. 息を吐きながら、おへそを覗き込むように上体を起こします。このとき肘は内側に入れないよう、胸を張ります。
3. 息を吸いながら、肩甲骨がつかない程度にゆっくりと倒します。
1セット10~15回を目安に3セット繰り返しましょう。
プッシュアップ
腕立て伏せは、大胸筋を鍛えるトレーニングとしては定番の種目です。
正しいフォームで行うことで大胸筋だけでなく、上腕三頭筋や三角筋などの上半身全体の筋肉をはじめ、下半身の筋肉まで鍛えることのできる優秀なトレーニングです。
特別な器具の必要のない手軽に行えるメニューなので必ずマスターしましょう。
1.肩幅より拳2つ分程度開いた位置の床に手を付けて腕立て伏せの体勢をとります。
2.息を吐きながらゆっくりと身体を降ろしていきます。
3.下げた状態で静止します。
4.息を吸いながら身体を持ち上げます。
10回×3セットを目安に繰り返しましょう。
10回が簡単にできてしまう人はゆっくりと行うこと、難しい人は膝をつくことで負荷を調整することができます。
リバースプッシュアップ
腕立て伏せを後ろ向きに行うリバースプッシュアップは、上腕三頭筋を最も効率的に鍛えられる自重トレーニングといわれています。
ソファや椅子などがあればできる簡単なトレーニングで、負荷も低いので女性にもおすすめの種目です。
1.椅子やベンチなどを背にして立ちます。
2.後ろ手で椅子やベンチの座面に手をつきます。
3.足を前に投げ出し、腕の力で身体を支えます。
4.そのまま肘を曲げてゆっくりと身体を下ろします。
5.限界まで下ろしたら、持ち上げます。
15~20回×3セットを目安に繰り返しましょう。
筋トレ初心者にありがちなミスが、下を向いた状態でトレーニングしてしまうことです。
背中を丸めてしまうと三頭筋に刺激が伝わりにくくなるため、注意しましょう。
プランク
プランクは、うつ伏せになった状態で前腕と肘とつま先を地面につき、その姿勢をキープした状態で筋肉に刺激を与えるアイソメトリック運動で、腹直筋だけでなく、腹横筋などのインナーマッスル以外にも全身の筋肉に刺激を与えることができる種目です。
シットアップやクランチといった上半身を起こす腹筋運動や、腹筋ローラーと比べて、筋力がない初心者でも行いやすく、腰への負担も少ないため、腰が痛い人でも安全で効果的なトレーニングができるのでおすすめです。
1.肘・前腕・手の小指側を床につけてうつぶせになります。
2.腰を浮かせて、頭からかかとまで真っすぐに伸ばします。
3.ゆっくり呼吸をしながら、キープします。
30秒〜1分×3セットを目安に繰り返しましょう。
片足を上げて行うことで通常のフォームよりも負荷を上げることができるので、負荷が物足りないと感じた方におすすめです。
ヒップリフト
ヒップリフトは、体幹を鍛える人気のトレーニングで、大臀筋のほかに、脊柱起立筋やハムストリングといった下半身の筋肉をメインに鍛えられる種目です。
ヒップリフトで鍛えられる体幹の筋肉は、腰痛の予防や基礎代謝アップなどにも繋がる部位なので、ぜひ積極的に取り組んでみてください。
1.仰向けに寝て、膝を90度に立てます。
2.肩・腰・膝が一直線になるように、床から腰を持ち上げます。
3.お尻を締めるように意識し、姿勢をキープします。
20回×3セットを目安に繰り返しましょう。
この種目も、両手にダンベルを持ってトレーニング動作を行うことで、筋肉により強い刺激を与えることができるようになるので、負荷が物足りなくなった人は試してみてください。
スクワット
足の筋トレの基本種目であるスクワットは、大腿四頭筋やハムストリング、下腿三頭筋のほかにも大臀筋や脊柱起立筋なども同時に鍛えることができる種目です。
メジャーな種目ですが、正しいフォームで行わないと、腰痛や膝の痛みの原因になるほか、意図しない場所を鍛えてしまうことになるので注意しましょう。
1.足を腰幅程度に開き、膝とつま先を同じ方向へ向けます。
2.お尻を後ろへ突き出すように股関節から折り曲げていきます。
3.太ももが床と平行になるまで下ろしたら、ゆっくりと元の体勢に戻ります。
15回×3セットを目安に繰り返しましょう。
両手にダンベルを持ってトレーニング動作を行うことで、筋肉により強い刺激を与えることができるようになるので、負荷が物足りなくなった人は試してみてください。
初心者向け1週間のスケジュール例

初心者の筋トレは、週に2〜3回が目安です。
先述の通り、筋肉は休ませることで大きく育つので、毎日おこなう必要はありません。
1週間ごとに、どこを鍛えるか予定を組みましょう。
以下のように、曜日ごとに鍛える部位を決めておくと継続しやすいのでおすすめです。
曜日 | 週2回 | 週3回 |
---|---|---|
月 | 休み | 休み |
火 | 休み | 上半身 |
水 | 上半身 | 休み |
木 | 休み | 下半身 |
金 | 休み | 休み |
土 | 休み | 体幹 |
日 | 下半身 | 休み |
週に3回以上トレーニングをやりたい場合は、以下の記事の分割法を参考にメニューを組んでみましょう。
全身をバランスよく鍛えることで、美しい筋肉ができあがります。
筋トレは無理のない範囲で取り組み、とにかく継続することが最優先です。
女性に嬉しい筋トレのメリット

筋トレがもたらす絶大な効果について理解すると、前向きな気持ちでトレーニングに向かうことができるのでおすすめです。
加えて、50代女性特有のメリットとして、以下の2つも挙げられます。
生活習慣病の予防

先述の通り、閉経前後の10年間は卵巣ホルモン「エストロゲン」が急激に低下するとともに、50代女性は生活習慣病のリスクも高まります。
エストロゲンには、血管の状態を健やかに保つ、内臓脂肪を分解しやすくなる、といった働きがあります。
そのため、閉経前後でエストロゲンが低下した50代女性は、以下のような生活習慣病のリスクが高まってきます。
・高血圧
・脂質異常症
・糖尿病
・肥満
・心臓病
・脳卒中
血圧や血管へ良い影響を与えて、糖代謝や脂質代謝の改善効果が期待できる筋トレをすることで筋肉量を増やして、生活習慣病を予防していきましょう。
精神的にも健康になる

閉経は精神的にも大きな影響を与えます。
更年期障害の影響で、精神状態が不安定になりやすい傾向があります。
・イライラ
・不安感
・不眠
・無気力
など、様々な症状があらわれますが、ひどいときにはうつ病を引き起こします。
厚生労働省による調査では、女性は男性の2倍程度、うつ病にかかりやすいこともわかっています。
精神の安定を保つためには質の良い睡眠が重要となるのですが、朝までぐっすり眠るためにも筋トレが効果的であることがわかっています。
2017年カナダにあるマクマスター大学が筋トレと睡眠の関係を研究した結果、筋トレには睡眠の質を高める効果があると発表されました。
快適な睡眠が不安感を軽減し、精神の安定につながり、更年期による症状としてもあげられる、うつ病の予防にも期待できるといえます。
まとめ

閉経の影響で身体的にも精神的にも大きく変化する50代女性。
この心身のターニングポイントをきっかけに、筋トレをするか・しないかで、将来若々しさを保つことにも大きな違いが出てきます。
50代からのスタートでも全く遅いことはありません。
身体を健康に保ち、快適に過ごすためにも、日々の生活にちょっとした運動の習慣を取り入れてみましょう!
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