・トレーニングがマンネリ化してきた
・筋肥大を目的としてトレーニングをしたい
・短時間で効率よく効果的に筋肉を鍛えたい
この記事では、そんなお悩みを解決します!
「スロートレーニング」とは、筋トレをゆっくりとした動作で行うトレーニングメソッドです。
例えば、腕立て伏せなら腕を3秒かけて曲げて床に近づけ、また3秒かけて伸ばします。
スクワットなら3秒かけてゆっくり膝を曲げて、その後3秒かけてゆっくり膝を戻すなどです。
同じトレーニングでも動作や停止時間をゆっくり長く取り組むことで、回数を増やさなくても高負荷を与えられるため、少ない回数でも効果は高くなります。
今回は、そんなスロートレーニングの概要やメリット・デメリット、メニューの組み方などについて解説します。
ぜひ、参考にしてみてください。
もくじ
スロートレーニングとは?

「スロートレーニング」とは、筋肉の発揮張力を維持しながらゆっくりと動作するレジスタンス運動のひとつの方法です。
比較的軽めの負荷であっても、ゆっくりと動作することで大きな筋肥大・筋力増強効果を得ることができます。
関節や筋肉にかかる負荷が小さいことから、怪我のリスクが低い効果的なレジスタンス運動として期待されています。
スロートレーニングの重要なポイントは、ゆっくりと動作することによって、運動動作中に筋肉の発揮張力を維持することにあると考えられています。
動作中に力を抜くことなく、終始力を入れっぱなしで動作をするということです。
これを「筋発揮張力維持法」と言います。
分かりやすいイメージとしては、何もないところに椅子に座っている姿勢をとって維持する「空気椅子」というものがありますが、この空気椅子に座った状態を維持しながらトレーニング動作を繰り返すような感じになります。
スロートレーニングではいろいろな動作方法が提唱されていますが、3~5秒程度かけてあげて、3~5秒かけて下げるという動作が一般的です。
さらに肘や膝を伸ばしきって休まない「ノンロック」という動作と組み合わせることで、より厳密に筋発揮張力を維持することができます。
スクワットなら立ち上がり切らずに再びしゃがみ込む、腕立て伏せなら腕を伸ばしきらずに再び腕を曲げるという動作の仕方です。
筋肉はグッと力を込めると硬くなり、血管を押しつぶすために血液の流れが阻害されます。
スロートレーニングはこの状態を維持したまま動作を続けるので、血流が制限された状態で行う運動になります。
血流が制限されると筋肉内の筋酸素化レベルが下がります。
この低酸素環境が筋肥大の強い刺激になると考えられています。
このような状態での運動では乳酸などの無酸素性の代謝物が多量に筋肉内に蓄積します。
乳酸が多量に蓄積すると浸透圧を一定にする働きから筋肉内に多量の水分が貯留して筋肉がはれ上がった状態「パンプアップ」になります。
レジスタンス運動で通常大きな筋肥大・筋力増強効果を得るためには、1回あげることができる最大の重量(1RM)の65%程度以上の負荷重量(65%1RM)が必要とされています。
なので、自分の体重を使って行う腕立て伏せのような運動では、大きな効果を得るのが難しいとされてきました。
しかし、スロートレーニングでは、トレーニングの動作の仕方を工夫することで、軽い負荷でも効果的に筋力を増強させることが可能となります。
50%1RMの負荷で行ったスロートレーニングでは80%1RMの負荷を用いて通常の速度で行ったトレーニングと同等の筋肥大・筋力増強効果があったという報告があります。(参照:厚生労働省 e-ヘルスネット「スロートレーニングとは」)
セット法とは?

「セット法」は、筋トレの際に筋肉にかかる負荷を大きくするためのテクニックで、バリエーション豊富なセット法が存在します。
セットごとに負荷や種目を変えるやり方のため、筋肉に多様な刺激が与えられて、効率よく発達させられるのが共通の特徴です。
また、プログラムに変化がつくことによって、マンネリ化しにくく、筋トレに対するモチベーションが向上しやすい点もメリットとして挙げられます。
自分のレベルや目的に合ったセット法のトレーニングを実践することで、筋トレの効果アップを狙いましょう。
スロートレーニングのメリット

スロートレーニングをトレーニングに取り入れる主なメリットは、以下の4つです。
1.短時間で高負荷を与えられる
2.筋肥大に効果的
3.狙った部位に効かせやすい
4.怪我のリスクが低い
それぞれについて詳しく解説します。
短時間で高負荷を与えられる

筋トレに取り組んでいる方の中には、回数を重視して何回もできたという達成感に浸っている人もいます。
ただ、しっかりと筋肉に負荷がかからなければ、回数がいくら多くても鍛えたい筋肉には効果が発揮されません。
スロートレーニングは、ゆっくりと動作している時に筋肉に刺激を与え続けられるので、1回のトレーニング効果は高め。
回数が少なくても正しいフォームで、一つ一つの動作に時間をかけることにより、短時間で高負荷を与えられます。
筋肥大に効果的

自宅でできる自重トレーニングは手軽にできて人気ですが、マシンや道具を使うトレーニングに比べて負荷が低くなりがち。
しかし、スロートレーニングは、動きをゆっくり行うだけで筋肉への負荷を高められるのがメリットです。
マシンを使ったり回数を増やしたりしなくても、トレーニングの効果を短時間で発揮できます。
狙った部位に効かせやすい

スロートレーニングは、反動を使って無理やり重量を扱うことがないため、普段はなかなか効かせにくい部位であっても、上手く効かせることができます。
怪我のリスクが低い

トレーニングは、回数をこなそうとして素早く行うと、関節に大きな負担を与えて身体を痛める原因になります。
スロートレーニングは、動作をゆっくりと取り組むため、関節への負担を少なく抑えられ、怪我のリスクを軽減できます。
そのため、リハビリなどにも使用されるトレーニングメソッドです。
スロートレーニングのデメリット

以下のデメリットを理解したうえで、メニューに取り入れるかどうかを検討しましょう。
1.筋力アップには向かない
2.モーターユニットを動員できない
3.補助筋が疲労する
それぞれについて詳しく解説します。
筋力アップには向かない

スロートレーニングは、1レップに時間をかけて挙げるぶん扱う重量が低くなるため、筋力アップには向きません。
スロートレーニングと通常のトレーニングを比較すると、スロートレーニングの方が筋力向上効果が低かったという報告があります。
モーターユニットを動員できない

モーターユニットとは、1本の神経とその神経が支配している筋肉のこと。
ゆっくり動作するということは、1本や2本の少ない神経でも動かすことが可能なため、神経の動員が少なくなります。
反対に、素早く動作する場合は、多くのモーターユニットや神経、筋繊維を使う必要があります。
そのため、スロートレーニングはアスリートの方のトレーニングとしてはあまり向いていないと言えます。
スロートレーニングばかりを行うのではなく、あくまでも新しい刺激の1つとして取り入れるようにしましょう。
補助筋が疲労する

例えば、ベンチプレスをスロートレーニングでゆっくり動作する場合、メインターゲットの大胸筋だけではなく補助筋の上腕三頭筋にも大きな負荷がかかります。
また、ラットプルダウンの場合も、補助筋の上腕二頭筋の方が疲れてしまいます。
このように、対象とする効かせたい筋肉に上手く刺激を与えられない場合があります。
そのため、アイソレーション種目の方が、相性が良いです。
スロートレーニングのやり方

こちらでは、初心者におすすめのスロートレーニングのメニューを紹介します。
やり方やコツ、回数の目安なども細かく解説しているので、ぜひ参考にして、毎日のトレーニングメニューにお役立てください。
1.スクワットのスロートレーニング
2.腕立て伏せのスロートレーニング
3.クランチのスロートレーニング
4.パイクプレスのスロートレーニング
5.バックエクステンションのスロートレーニング
それぞれについて詳しく解説します。
スクワットのスロートレーニング
足の筋トレの基本種目であるスクワットは、大腿四頭筋やハムストリング、下腿三頭筋のほかにも大臀筋や脊柱起立筋なども同時に鍛えることができる種目です。
メジャーな種目ですが、正しいフォームで行わないと、腰痛や膝の痛みの原因になるほか、意図しない場所を鍛えてしまうことになるので注意しましょう。
スロートレーニングを取り入れることで、筋トレ初心者でも、筋力アップや基礎代謝の向上の効果が期待でき、痩せやすく太りにくい身体づくりができます。
1.足を腰幅程度に開き、膝とつま先を同じ方向へ向けます。
2.お尻を後ろへ突き出すように股関節から折り曲げていきます。
3.3秒かけて太ももが床と平行になるまで下ろしたら、3秒かけてゆっくりと元の体勢に戻ります。
スロートレーニングを行う場合の回数は、5回×3セットを目安に繰り返しましょう。
慣れてきたら、3秒から徐々に時間を増やしていきましょう。
両手にダンベルを持ってトレーニング動作を行うことで、筋肉により強い刺激を与えることができるようになるので、負荷が物足りなくなった人は試してみてください。
腕立て伏せのスロートレーニング
腕立て伏せは、大胸筋を鍛えるトレーニングとしては定番の種目です。
正しいフォームで行うことで大胸筋だけでなく、上腕三頭筋や三角筋などの上半身全体の筋肉をはじめ、下半身の筋肉まで鍛えることのできる優秀なトレーニングです。
特別な器具の必要のない手軽に行えるメニューなので必ずマスターしましょう。
1.肩幅より拳2つ分程度開いた位置の床に手を付けて腕立て伏せの体勢をとります。
2.息を吐きながら3秒かけて身体を降ろしていきます。
3.下げた状態で静止します。
4.息を吸いながら3秒かけて身体を持ち上げます。
スロートレーニングを行う場合の回数は、5回×3セットを目安に繰り返しましょう。
5回が簡単にできてしまう人は3秒から徐々に時間を増やしていきましょう。
難しい人は膝をつくことで負荷を調整することができます。
クランチのスロートレーニング
1. 仰向けになり、膝を軽く曲げます。そのとき両手は頭の後ろへ。
2.上半身を丸めるイメージで、息を吐きながら3秒かけておへそを見ます。
3.お腹がグッとなる位置まで起こしたらお腹を意識したまま、息を吸いながら3秒かけて上体を戻します。
クランチはゆっくりした動きで腹筋の収縮を感じることが大切です。
慣れないうちは首の痛みを感じやすいです。首だけを上げないよう注意してください。肩を内側に少し丸めると首への負担を軽くできます。
10回×3セットを目安に繰り返しましょう。
パイクプレスのスロートレーニング
お尻を突き出した状態で腕立て伏せを行うパイクプレスは、三角筋に集中して負荷を与えることができる種目です。
三角筋を重点的に鍛えることのできる数少ない自重トレーニングです。
1.四つん這いになり、膝を床から浮かします。
2.お尻が最も高い位置まで上がるように手と足の位置を調整します。
3.腕立て伏せの要領で3秒かけて身体を前方に倒します。
4.肩の力で床を押し返し、1秒で元のポジションに戻します。
10回×3セットを目安に繰り返しましょう。
負荷が足りないと感じる場合は、腕を曲げる時間を長くしたりセット数を増やしたりして強度を高めましょう。
バックエクステンションのスロートレーニング
バックエクステンションとは、背筋の代名詞的な背中(バック)を伸ばす(エクステンション)ことによって、脊柱起立筋と広背筋に効果的な種目です。
脊柱起立筋をトレーニングすることによって、背筋が伸びやすくなり、猫背の改善につながるので、背筋がまっすぐに伸びた美しい姿勢を保ちやすくなります。
また、脊柱起立筋が固まってしまうと、繋がっている腰の筋肉まで固まり、腰痛の原因となるので、トレーニングで硬化を防ぐことで腰痛予防につながります。
1.うつ伏せの状態になり、頭の後ろで両手を組みます。
2.息を吐きながら、無理なく上がる高さまで上体を上げて2秒キープします。
3.息を吸いながら、上体を下ろします。
10回×3セットを目安に繰り返しましょう。
負荷が足りないと感じる場合は、上半身を反らせる時間を長く保つと強度が高まります。
まとめ

動きをゆっくり行い、筋肉を休ませずに取り組むスロートレーニング。
スロートレーニングは、器具を使わなくても負荷を高められて、筋肉を効率よく鍛えられます。
短時間で高い負荷をかけたい方は、ぜひスロートレーニングに挑戦してみてください!
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