・トレーニングがマンネリ化してきた
・筋肥大を目的としてトレーニングをしたい
・短時間で効率よく効果的に筋肉を鍛えたい
この記事では、そんなお悩みを解決します!
「GVT法」とは、ドイツ生まれの重量変更なし10レップ×10セットで追い込むバルクアップ特化型のトレーニングメソッドです。
筋トレ初心者だけではなく、ドイツやカナダのウェイトリフティング選手のあいだで使用され、効果が実証されています。
今回は、そんなGVT法の概要やメリット・デメリット、メニューの組み方、注意点などについて解説します。
ぜひ、参考にしてみてください。
GVT法とは?

GVT法は、1970年代にドイツ人フィットネスコーチの「ロルフ・フェザー」氏によって考案されたトレーニング方法です。
このトレーニング法はドイツ語圏のアスリートたちがオフシーズン中の筋量アップを目的として行っていたため「ジャーマン・ボリューム・トレーニング」と呼ばれるようになりました。
GVT法の最も大きな特徴は、バルクアップ特化型のトレーニングであるということです。
一般的に、トレーニング歴が長くなれば長くなるほど筋肥大はしにくくなると言われていますが、GVT法を取り入れたところ、トレーニング歴の長いウエイトリフターの筋量がわずか12週間で有意に向上したという研究結果もあり、初心者の方はもちろん、上級者の方にも効果的なトレーニングです。
トレーニング内容は以下の通りです。
使用重量 | 1RMの60% |
セット数 | 10セット |
レップ数 | 各10回 |
インターバル | 60~90秒 |
例えば、ベンチプレスで100kgを1回あげられるのなら、メニューは次のようになります。
ベンチプレス60kg×10セット×10レップ(100kg×60%=60kg)
GVT法では、選択した種目で10セット×10レップを行います。
しかも、1セット目から最後の10セット目まで用いる重量は変更しません。
そのため、最初から10レップが限界の高重量は使えないので、通常は20レップで限界が来る程度の重量を選択します。
セット法とは?

「セット法」は、筋トレの際に筋肉にかかる負荷を大きくするためのテクニックで、バリエーション豊富なセット法が存在します。
セットごとに負荷や種目を変えるやり方のため、筋肉に多様な刺激が与えられて、効率よく発達させられるのが共通の特徴です。
また、プログラムに変化がつくことによって、マンネリ化しにくく、筋トレに対するモチベーションが向上しやすい点もメリットとして挙げられます。
自分のレベルや目的に合ったセット法のトレーニングを実践することで、筋トレの効果アップを狙いましょう。
GVT法のメリット

GVT法をトレーニングに取り入れる主なメリットは、以下の5つです。
1.トレーニングボリュームを稼げる
2.筋肥大に効果的
3.筋持久力アップに効果的
4.トレーニング時間の短縮
5.狙った部位に効かせやすい
それぞれについて詳しく解説します。
トレーニングボリュームを稼げる

近年のフィットネス界では、筋肥大を引き起こすにはトレーニングのボリュームが重要であるというのが主流の考え方です。
トレーニングボリュームとは、
重量×レップ数×セット数
で計算される数値のこと。
このトレーニングボリュームが大きければ、より効果的な筋肥大が期待できるとされています。
(とはいえボリュームは大きければ大きいほどいい、というわけではありません。大きすぎるボリュームはオーバートレーニングにつながるので注意してください。)
GVT法は10レップのトレーニングを10セットも行うため、トレーニングボリュームを大きくするには最適です。
例えば、通常のように100kgのベンチプレスを10回3セット行った場合のボリュームは、
100×10×3=3000
です。
同じ重量でGVT法を行った場合は、10レップを10セット繰り返すので、
100×10×10=10000
となります。
このように、GVT法はトレーニングボリュームを稼ぎやすいトレーニングメソッドです。
筋肥大に効果的

特別なテクニックを採用していない単純なトレーニングであるGVT法ですが、筋肥大には非常に有効とされています。
というのも、筋肥大において、同じ種目を、フォーム・重量を変えずに10セット行うというGVT法独自の特徴が大きな意味を持っているのです。
人間の筋肉は、モーターユニットという単位で分けて考えることができます。
「モーターユニット」とは、1本の神経と、それが支配する筋繊維すべてのことを指します。
通常のトレーニングでは、1つのモーターユニットだけを徹底的に狙うということができません。
フォームや重量の変化によって動員されるモーターユニットが変わってしまったり、セット数が足りずに追い込み切れなかったりするからです。
しかし、GVT法を採用すると、同じ種目を、同じフォーム・同じ重量で行うことにより、特定のモーターユニットを徹底的に追い込むということができるようになります。
そのため、
・ターゲット部位に疲労を蓄積させ、強いストレスを与える
・普段のトレーニングでは経験しないような刺激を与える
ということが可能になり、結果的に筋肥大が促進されます。
筋持久力アップに効果的

GVT法では、ウエイトトレーニングにしては比較的軽めの重量を扱います。
さらに、
・インターバルが60~90秒と短いこと
・10セットものハイボリュームをこなすこと
なども相まって、筋肥大だけでなく筋持久力の向上にも適したトレーニングと言えます。
トレーニング時間の短縮

GVT法では、メインの種目を10セットも行います。
これだけを聞くとトレーニング時間が長くなりそうと思うかもしれませんが、実はそんなことはありません。
GVT法は、セット間のインターバルを短く設定しているため、きっちりこなせばトレーニング時間が長引くことはありません。
また、メイン種目を10セット終えたころには体力的にかなりきつくなっていると思います。
そのため、補助種目の種類やセット数を少なくしても十分に追い込めるという点でも時短につながります。
狙った部位に効かせやすい

苦手な部位をトレーニングするとき、重たいウェイトを使うと効いてる気がしないという経験はありませんか?
一般的な中~高重量のウエイトトレーニングでは、物理的に大きな刺激を与えることはできるものの、
・このトレーニングでどの筋肉を使っているのか
・筋肉を最大限に収縮・伸展できているか
などは意識しにくいと思います。
いわゆるマインドマッスルコネクションが疎かになってしまいがちに。
その点、GVT法は比較的軽めの重量で対象部位を徹底的に狙っていくトレーニング方法であるため、筋肉をコントロールでき、対象部位に効かせやすくなります。
そのため、弱点部位や苦手な部位の対策としてもGVT法は有効です。
GVT法のデメリット

以下のデメリットを理解したうえで、メニューに取り入れるかどうかを検討しましょう。
1.筋力アップには向かない
2.強烈にパンプアップする
3.刺激が偏る
それぞれについて詳しく解説します。
筋力アップには向かない

筋力をアップさせるには、高重量・低レップのトレーニングが基本です。
GVT法では、比較的軽い重量でハイボリュームをこなすため、筋力アップには向いていません。
筋力がまったく伸びないわけではありませんが、筋力アップがメインのプログラムと比べると、やはり劣ります。
強烈にパンプアップする

トレーニングの効果が高いほど、その代償も大きくなります。
3.4セット目まではツラくないのですが、5〜6セット目以降からは強いパンプ感が襲ってきます。
パンプが好きな人でさえ苦しむほどの痛みを得られます。
10セット目が終わるころには、心肺機能も困憊して吐き気を催すほどキツくなります。
刺激が偏る

GVT法では、メインの1種目でほとんどのエネルギーを使ってしまうため、補助種目が少なくなってしまいがちです。
そのため、刺激の種類や角度のバリエーションは減ってしまいます。
ボディメイクの観点からは、いろんな角度からさまざまな刺激を与えるということが大切な要素です。
その点、刺激が偏ってしまうこともGVT法のデメリットのひとつです。
GVT法のやり方

GVT法を世界に広めたカナダのCharles R. Poliquinというトレーナーによると、初めてGVT法を取り入れる人には、次のメニューが推奨されています。
なお、筋トレを最低でも半年以上は続けている人が対象です。
1. | 胸・背中 |
2. | 足・腹筋 |
3. | オフ |
4. | 肩・腕 |
5. | オフ |
6. | オフ |
リピート |
胸と背中を同日に、脚と腹筋、肩と腕、といった3分割でメニューを組みます。
トレーニング内容は以下の通りです。
使用重量 | 1RMの60% |
セット数 | 10セット |
レップ数 | 各10回 |
インターバル | 60~90秒 |
(参考:German Volume Training Revisited and Expanded)
GVT法のメニュー例

胸・背中
種目 | セット数 | レップ数 |
---|---|---|
インクラインダンベルプレス | 10 | 10 |
懸垂 | 10 | 10 |
インクラインダンベルフライ | 3 | 10−12 |
ダンベルロー | 3 | 10−12 |
懸垂ができない場合は、ラットプルダウンやバーベルローに変更しても大丈夫です。
バーベルローに変更する場合、4種目に懸垂もしくはラットプルダウンをおこないます。
足・腹筋
種目 | セット数 | レップ数 |
---|---|---|
バックスクワット | 10 | 10 |
レッグカール | 10 | 10 |
カーフレイズ | 3 | 10−12 |
クランチ | 3 | 10−12 |
肩・腕
種目 | セット数 | レップ数 |
---|---|---|
バーベルショルダープレス | 10 | 10 |
シーテッドサイドレイズ | 3 | 10−12 |
フェイスプル | 3 | 10−12 |
バーベルカール | 3 | 10−12 |
スカルクラッシャー | 3 | 10−12 |
中級者向けのGVT法は、次のサイトが参考になります。(英語)
(参考:The Return of German Volume Training | T Nation)
GVT法のおすすめ種目

こちらでは、各部位のトレーニングにGVT法を取り入れる際のおすすめ種目を紹介します。
基本的には、複数の筋肉を使う「コンパウンド種目」を採用します。
1.大胸筋のGVT法
2.背筋群のGVT法
3.大腿四頭筋のGVT法
4.ハムストリングのGVT法
5.三角筋のGVT法
6.腕のGVT法
それぞれについて詳しく解説します。
大胸筋のGVT法

バーベルでもダンベルでも可能です。
ただ、ダンベルの場合だと、セット後半に疲れてしまい、ダンベルをセット開始のフォームまで持ってくるのが大変です。
そのため、より安定性のあるバーベルをおすすめします。
背筋群のGVT法

デッドリフトは握力が疲れてしまい、セット後半になるとフォームが崩れやすく、腰に負担がかかるのであまり推奨されていません。
懸垂の場合、身体が軽くて、正しいフォームで20回ほどできるなら、採用してもOKです。
大腿四頭筋のGVT法

ハムストリングのGVT法

ハムストリングスの場合、ルーマニアンデッドリフトは腰への負荷が大きいため、マシン種目を選ぶといいでしょう。
三角筋のGVT法

腕のGVT法


腕の場合、胸・背中・肩のトレーニングでたくさん使われるため、GVT法の必要はありません。
肩のトレーニング日に、補助種目として1〜2種目行います。
GVT法を行う際の注意点

こちらでは、普段の筋トレにGVT法を取り入れる際の4つの注意点について解説します。
1.重量・フォームは変えない
2.コンパウンド種目で導入する
3.頻度は週1回で十分
4.記録をつける
それぞれについて詳しく解説します。
重量・フォームは変えない

重量とフォームを変えないことは、GVT法において最も大切なポイントです。
GVT法の目的は、ひとつのモーターユニットを徹底的に狙うということ。
重量やフォームが変わると動員されるモーターユニットも変わってしまい、ただのハイボリュームトレーニングになってしまいます。
GVT法の特性を最大限に活かすためにも、キツくても重量とフォームはキープしましょう。
どうしてもキツいときは、
・レップ数を下げる
・インターバルを少し長くとる
ことで対策しましょう。
キツくなって、フォームが崩れたらそのセットは終了です。
チーティングを使用したレップはカウントに含みません。
コンパウンド種目で導入する

GVT法を行う際は、基本的にコンパウンド種目を選びましょう。
コンパウンド種目とは、ベンチプレスやスクワット、懸垂など複数の関節の運動が関与するトレーニングのことです。
コンパウンド種目は、比較的高重量を扱いやすいだけでなくフォームが安定しやすいため、
・トレーニングの強度を上げる
・フォームの乱れによるケガを防ぐ
という点で有効になります。
頻度は週1回で十分

GVT法は、非常にハイボリュームで肉体的・精神的なダメージも大きくなります。
筋肉を十分に回復させるのにも長めの時間がかかってしまいます。
GVT法を取り入れるのであれば、各部位週に1回くらいで十分です。
むしろ、週に何度もGVT法を行える場合は、トレーニングの強度が足りていない可能性が高いです。
そんなときは重量やフォームを見直し、1回のトレーニングの質を高めるようにしましょう。
記録をつける

10レップ×10セット・インターバル60~90秒を目標に行うGVT法ですが、基本的に完璧にこなすことはできないことの方が多いです。
途中でレップ数を下げたり、インターバルが長くなってしまうことがほとんどだと思います。
そこで、何セット目に何レップできて、インターバルをどのくらいとったのかを記録しておくことがおすすめです。
記録を残しておくことによって、自分のレベルや進捗状況が分かりやすくなり、次のトレーニングの目標を立てやすくなります。
まとめ

今回は、ドイツ生まれの重量変更なし10レップ×10セットで追い込むバルクアップ特化型のトレーニングメソッド「GVT法」について解説しました。
通常のトレーニングとは一味違ったアプローチから切り込んだGVT法は、
・筋肥大
・筋持久力アップ
・マンネリ化対策
などに非常に有効です。
かなりキツいトレーニングではありますが、ぜひチャレンジしてみてください!
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