・トレーニングがマンネリ化してきた
・筋肥大を目的としてトレーニングをしたい
・限界を超えて追い込みたい
この記事では、そんなお悩みを解決します。
フォーストレップ法(フォースドレップ法)は、自身の筋力限界を越えてから、補助者にウエイト挙上をサポートしてもらうことで強い負荷を筋肉に加え、筋肥大に有効とされるトレーニングメソッドです。
長期間筋トレを続けていると、オールアウトが難しくなり筋力アップや筋肥大の効果が得られにくくなります。
そのような悩みがあるなら、フォーストレップ法を試してみるのはいかがでしょうか。
これまで行ってきた基本のストレートセット法と異なり、フォーストレップ法なら筋肉を最大限まで追い込むことができます。
しかし、高い効果が得られる一方、やり方を間違えてしまうと怪我のリスクが高まります。
正しいやり方や注意点を把握して、効果が得られるようにしなければなりません。
そこで今回は、フォーストレップ法の概要やメリット・デメリット、筋肉部位別の取り入れ方、行う際の注意点などについて解説していきます。
フォーストレップ法のことを詳しく知りたい人は、ぜひ参考にしてみてください。
もくじ
フォーストレップ法とは?

フォーストレップ法とは、自身の筋力限界の状態(これ以上反復できない状態)で、補助者に挙上を手伝ってもらうことで、さらに数レップを追加して筋肉に強い負荷を加えるトレーニングメソッドです。
自力では達成できないほど大きな負荷を与えることができるので、筋肥大や停滞期の打破にも効果的なトレーニング方法です。

国内では慣習的に「フォーストレップ法」と表記されることの多いセット法ですが、語源となる英語はForced(フォースド|強制される)とreps(レペティション|反復動作)の組み合わせであり、厳密には「フォースドレップ法」と表記するのが正しい記載方法です。
セット法とは?

「セット法」は、筋トレの際に筋肉にかかる負荷を大きくするためのテクニックで、バリエーション豊富なセット法が存在します。
セットごとに負荷や種目を変えるやり方のため、筋肉に多様な刺激が与えられて、効率よく発達させられるのが共通の特徴です。
また、プログラムに変化がつくことによって、マンネリ化しにくく、筋トレに対するモチベーションが向上しやすい点もメリットとして挙げられます。
自分のレベルや目的に合ったセット法のトレーニングを実践することで、筋トレの効果アップを狙いましょう。
フォーストレップ法のメカニズム

フォーストレップ法が筋肥大に効果的という主なメカニズムは、
・限界を超えた負荷
・エキセントリック収縮の活用
の2つです。
限界を超えた負荷

筋肉の成長には、「漸進性過負荷の原則(プログレッシブオーバーロード)」が非常に大切です。
これは、筋肉を成長させるには、少しずつ負荷を大きくしていく必要があるということ。
長期的にトレーニングを積んでいくと、筋肉はトレーニングで与えられる刺激に対する耐性を得ていきます。
その反面、自力で挙げられる負荷には限界があるので、トレーニング歴が長くなるにつれてプログレッシブオーバーロードを達成することが難しくなってしまいます。
フォーストレップ法では、補助の力を借りることで、自分一人ではかけられない大きな負荷をかけ、プログレッシブオーバーロードを達成することができます。
エキセントリック収縮の活用

「エキセントリック収縮」とは、力を発揮しつつも筋繊維が伸び、筋肉が長くなっている状態のこと。
ネガティブ動作ともいわれています。
これと対となる動作がコンセントリック収縮。
こちらは力を発揮しつつ筋繊維が収縮し、筋肉が短くなっている状態です。
筋肥大を引き起こすきっかけのひとつに、筋繊維の微細な損傷というものがあります。
トレーニングによって筋繊維が破壊されると、その筋肉を修復するために筋タンパク質の合成が活発になり、筋肥大につながるわけです。
この筋繊維の微細な損傷は、コンセントリック収縮よりもエキセントリック収縮で起こりやすいとされています。
フォーストレップ法では、ウエイトを上げる動作(コンセントリック収縮)で補助の力を借りることでエネルギーの消費を最小限に抑え、ウエイトを降ろすネガティブ動作(エキセントリック収縮)により意識とエネルギーを注ぐということができます。
そのため、より筋肉の微細な損傷を引き起こしやすく、筋肥大にも高い効果が期待できます。
フォーストレップ法のメリット

フォーストレップ法のメリットは大きく分けて3つあります。
1.限界を超えた負荷を与えられる
2.正しいフォームのまま追い込める
3.モチベーションを保ちやすい
それぞれについて詳しく解説します。
限界を超えた負荷を与えられる

メカニズムでも紹介しましたが、フォーストレップ法の最大の特徴は、限界を超えた負荷を与えられるということです。
筋肥大を求めるなら、トレーニングにおいて最も基本になってくるのが「漸進性過負荷の原則(プログレッシブオーバーロード)」です。
トレーニング歴やレベルが上がるにつれて達成しにくくなるプログレッシブオーバーロード。
補助の力を借りて限界を超え、自力では不可能な強度のトレーニングを行うことができるのは、フォーストレップ法の最大のメリットと言えます。
正しいフォームのまま追い込める

一人でトレーニングをしていると、後半になるにつれて疲労が溜まり、どうしてもフォームが乱れてしまいがちです。
特に限界まで追い込もうとすると、力を発揮することに集中してしまい、フォームを維持する余裕がなくなってしまいます。
その点、フォーストレップ法では、補助についてもらうため無理に力むことがなくなり、正しいフォームのまま限界まで追い込むことができます。
セットの最後まで丁寧に追い込めるため、ターゲットの筋肉に効かせやすく、怪我のリスクも低く抑えることができます。
モチベーションを保ちやすい

トレーニングの最初の方はやる気に満ち溢れていたのに、いつの間にか疲れてやる気がなくなっていた、停滞期に入ってしまいトレーニングのモチベーションが下がってしまった……なんてことはありませんか?
筋トレは基本的に自分自身との闘いですが、一人でトレーニングしているとどうしてもやる気がでないということは多々あると思います。
その点、フォーストレップ法のパートナーと一緒にトレーニングするという特徴は、メリットになります。
自分一人ではモチベーションを維持するのが難しくても、パートナーと声を掛け合い、お互いに刺激しあうことで、メンタル面でも良い状態を維持しやすくなります。
フォーストレップ法のデメリット

以下のデメリットを理解したうえで、メニューに取り入れるかどうかを検討しましょう。
1.オーバートレーニングになりやすい
2.補助の技術がトレーニングの質に直結する
3.一人では難しい
それぞれについて詳しく解説します。
オーバートレーニングになりやすい

フォーストレップ法は、自分一人の力ではできないような負荷を与え、限界を超えて追い込んでいくトレーニング方法です。
そのため、当然トレーニングの強度は上がります。
オーバートレーニングに陥って回復が間に合わなくなってしまうと、モチベーションの低下や怪我のリスクの増加にもつながってしまいます。
そのため、フォーストレップ法のやりすぎには注意しましょう。
補助の技術がトレーニングの質に直結する

フォーストレップ法の補助は、各種目の適正な軌道やスティッキングポイント(挙上が一番苦しいポジション)などを補助者が完璧に理解している必要があります。
知識の乏しい人に補助してもらうと、効果が出ないばかりか、怪我の原因になるので、補助者は経験豊かな筋トレ上級者にやってもらうか、専門知識のあるトレーナーにお願いしましょう。
一人では難しい

フォーストレップ法の大前提は、補助ができることです。
当然、ベンチプレス、スクワットなどの種目では1人でフォーストレップ法を行うことは不可能になってきます。
アームカール等の片手ずつ行う種目では、ウエイトを持っていない方の手で補助して一人で行うこともできますが、やはり別の人に補助してもらった方が効率的です。
身近にトレーニング仲間が少ない人や、自宅トレをメインにしている人には実践しづらいのもデメリットと言えます。
フォーストレップ法のやり方

こちらでは、具体的なフォーストレップ法の流れを説明します。
例として、ベンチプレスをフォーストレップ法で行う場合をチェックしていきます。
8RMで8レップ
↓
インターバル
↓
8RMで8レップ
↓
インターバル
↓
8RMで限界まで+補助してもらって1-2レップ
※RM(Repetition Maximum)とは重量設定の考え方のひとつで、8RMなら「8回ギリギリできて9回はできない重量」になります。
ポイントは、毎セット補助に入ってもらうのではなく、最終セットで限界ギリギリまで追い込んだ時のみ補助してもらい、さらに強度を挙げるということです。
具体的な筋肉部位別のメニュー例

こちらでは、フォーストレップ法の具体的なメニュー例を筋肉の部位別に紹介します。
1.大胸筋の代表的なフォーストレップ法
2.背筋群の代表的なフォーストレップ法
3.三角筋の代表的なフォーストレップ法
4.上腕三頭筋の代表的なフォーストレップ法
5.上腕二頭筋の代表的なフォーストレップ法
6.下半身の代表的なフォーストレップ法
それぞれについて詳しく解説します。
大胸筋の代表的なフォーストレップ法

大胸筋トレーニングの代表的種目といえば、「筋トレBIG3」のうちの一つであるベンチプレスで、本種目はフォーストレップ法と相性が良いことで知られています。
①MAXの80%重量×8レップ
②MAXの80%重量×8レップ
③MAXの80%重量を限界まで+フォーストレップ1~2レップ
補助者はトレーニーの頭側に立ち、バーベルを上から握って補助します。
また、高重量の場合はトレーニーの頭をまたぐようにバーベルの直上に立って行います。
なお、マシンチェストプレスでも同様なフォーストレップ法の実施が可能です。
背筋群の代表的なフォーストレップ法

背中の種目はフォーストレップ法が行いにくい種目が多いですが、ケーブルラットプルダウンは補助が行いやすい種目です。
①MAXの80%重量×8レップ
②MAXの80%重量×8レップ
③MAXの80%重量を限界まで+フォーストレップ1~2レップ
補助者はトレーニーの後ろに立ち、ラットバーに手を添えて補助します。
この時、トレーニーのグリップの外側を持つと力が入りにくいので、グリップ間に手を置いて補助を行います。
三角筋の代表的なフォーストレップ法

バーベルを押し上げる時に三角筋の前部・中部、ゆっくり下ろす時に三角筋後部に効果の高い種目がバーベルショルダープレスです。
この種目もフォーストレップ法とかなり相性の良い種目です。
①MAXの70%重量×10レップ
②MAXの70%重量×10レップ
③MAXの70%重量を限界まで+フォーストレップ1~2レップ
補助者はトレーニーの後ろに立ち、グリップの間を軽く保持して補助します。
トレーニーのグリップの外側を持つと、力が入れにくいので注意してください。
上腕三頭筋の代表的なフォーストレップ法

上腕三頭筋にストリクトに負荷がかかり、フォーストレップ法がやりやすい種目が、ケーブルプレスダウンです。
①MAXの70%重量×10レップ
②MAXの70%重量×10レップ
③MAXの70%重量を限界まで+フォーストレップ1~2レップ
補助者はケーブルを持って引き下ろすか、スタックウエイトを持ってウエイトを引き上げるかのいずれかで補助を行います。
ウエイトを持つ場合は指を挟まないように注意してください。
上腕二頭筋の代表的なフォーストレップ法

上腕二頭筋の代表的種目であるバーベルカールは、フォーストレップ法との相性がきわめて良いことで知られています。
①MAXの70%重量×10レップ
②MAXの70%重量×10レップ
③MAXの70%重量を限界まで+フォーストレップ1~2レップ
補助者はトレーニーと対面して立ち、グリップ間に手を下から添えて補助を行います。
この時、トレーニーのグリップの外側を持つと力が入りにくいので注意してください。
下半身の代表的なフォーストレップ法

下半身の代表的なフォーストレップ法がバーベルスクワットでの実施です。
本種目の補助はややテクニックが必要ですが、下半身トレーニングにおいて避けては通れない種目ですので具体的なやり方を解説します。
①MAXの80%重量×8レップ
②MAXの80%重量×8レップ
③MAXの80%重量を限界まで+フォーストレップ1~2レップ
補助者はトレーニーの後ろから身体を密着させるように立ち、下からバーベルを保持して補助を行います。
補助者はトレーニーから離れて立つと、前重心になってしまい、トレーニーの動作妨害になってしまいますので気をつけてください。
フォーストレップ法を行う際の注意点

フォーストレップ法は、非常に強い負荷・刺激を筋肉に加えられる反面、やりすぎると簡単にオーバーワークに陥ってしまいます。
そのため、初心者の場合は2週間に一度各種目1セットずつ程度、中級者の場合は1週間に一度各種目1セットずつ程度、上級者であっても各種目2セットずつ程度に抑えるとよいでしょう。
まとめ

今回は、自身の筋力限界を越えてから、補助者にウエイト挙上をサポートしてもらうことで強い負荷を筋肉に加えるフォーストレップ法について解説しました。
トレーニングパートナーがいないと実践しにくく、少しハードルの高いテクニックではありますが、筋肥大や停滞期の打破にはかなり有効です。
・停滞期を迎えた方
・筋肉をさらに追い込みたい方
はぜひ試してみてください!
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