・トレーニングがマンネリ化してきた
・ベンチプレスで大胸筋を鍛えたいのに、先に上腕三頭筋が疲れてしまう
・スクワットで脚に効かせたいのに、背中や腰に負荷が逃げてしまう
この記事では、そんなお悩みを解決します!
このような悩みは、筋トレにはつきものです。
そんなときは、
・フォームを改善する
・重量やレップ数を見直す
というのが一般的な対処法になりますが、実はそれ以外にも簡単に対策ができます。
それが、今回の記事で紹介する「予備疲労法」というトレーニングテクニック。
予備疲労法は、特定の筋肉をターゲットにして集中的に追い込みオールアウトするトレーニングメソッドです。
本記事では、予備疲労法の概要やメリット・デメリット、筋肉部位別の取り入れ方などについて解説していきます。
予備疲労法のことを詳しく知りたい人は、ぜひ参考にしてみてください。
もくじ
予備疲労(プレイグゾースト)法とは?

予備疲労法(プレイグゾーストメソッド)は、ターゲットにした特定の筋肉だけに負荷のかかるアイソレーション種目(単関節種目)を先に実施し、その後でターゲットにした筋肉を含むコンパウンド種目(複合関節種目)を行うことで、その特定の筋肉に非常に強い負荷を加えるトレーニングメソッドです。
メインとなるコンパウンド種目に移る前にあえてアイソレーション種目で疲労を与えておくことで、ターゲットの筋肉を追い込みやすくすることができます。
例えば、上腕三頭筋が弱い場合、ベンチプレスをやっても大胸筋が疲労する前に三頭が疲労してしまい、追い込み切れません。
そのような場合、先にダンベルフライなどを行って大胸筋だけを疲労させ、その後にベンチプレスを行います。
そうすれば、上腕三頭筋がフレッシュな状態で大胸筋だけ既に疲労しているため、ベンチプレスで大胸筋を追い込めるということです。
セット法とは?

「セット法」は、筋トレの際に筋肉にかかる負荷を大きくするためのテクニックで、バリエーション豊富なセット法が存在します。
セットごとに負荷や種目を変えるやり方のため、筋肉に多様な刺激が与えられて、効率よく発達させられるのが共通の特徴です。
また、プログラムに変化がつくことによって、マンネリ化しにくく、筋トレに対するモチベーションが向上しやすい点もメリットとして挙げられます。
自分のレベルや目的に合ったセット法のトレーニングを実践することで、筋トレの効果アップを狙いましょう。
予備疲労法のメリット

予備疲労法をトレーニングに取り入れる主なメリットは、以下の3つです。
1.筋肥大に効果的
2.対象部位を意識しやすくなる
3.新鮮な刺激を与えられる
それぞれについて詳しく解説します。
筋肥大に効果的

研究によると、コンパウンド種目からアイソレーション種目の順番でメニューを組む方法に比べて、予備疲労法のアイソレーション種目からコンパウンド種目でメニューを組む順番の方が、筋量増加が大きかったとされています。
ただし、予備疲労法は、正しいフォームやウエイトの微調整ができると同時に、自己の身体の状況を理解している上級者向けのテクニックになります。
初心者のトレーニングでは、フォームの崩れなどでアイソレーション種目でも補助筋群の動員を余儀なくされたり、コンパウンド種目でのウエイトの調整がうまくいかないといったことが起こり得ます。
そのため、初心者の方は基本であるコンパウンド種目からアイソレーション種目の順番でメニューを組むことを順守し、トレーニング経験を積んだのち、状況に応じて取り入れるかを判断するようにしましょう。
対象部位を意識しやすくなる

いわゆる「マインドマッスルコネクション」1とも呼ばれるもの。
コンパウンド種目では複数の筋肉が同時に動員されるため、ピンポイントでターゲットの筋肉に刺激を与えるには、かなり正確にフォームを習得する必要があります。
一方アイソレーション種目は、ひとつの筋肉しか動員されないため、使用重量は落ちてしまう代わりに、狙った筋肉に効かせやすくなります。
先にアイソレーション種目を行うことで疲労を溜め、ある程度パンプアップした状態を作っておくことで、ターゲットの筋肉に対する意識を高めやすいというのは事前予備疲労法の大きなメリットです。
新鮮な刺激を与えられる

筋肉の成長において「慣れ」というのは大きな悩みの種です。
常に同じようなトレーニングを行っていると筋肉が刺激に慣れてしまい、次第に通常のトレーニングでは成長しなくなってしまいます。
普段のトレーニングでは、
コンパウンド種目
↓
アイソレーション種目
という順番でトレーニングを行うことが多いと思うので、
アイソレーション種目
↓
コンパウンド種目
と順序を入れ替えた予備疲労法を取り入れることで、筋肉の慣れを避け、停滞期やマンネリ化の打破ができます。
予備疲労法のデメリット

以下のデメリットを理解したうえで、メニューに取り入れるかどうかを検討しましょう。
1.筋力アップには向かない
2.逆に狙った部位を意識しにくくなることも
3.コンパウンド種目の良さを阻害することも
それぞれについて詳しく解説します。
筋力アップには向かない

筋力を向上させるためには、高重量・低レップのコンパウンド種目が重要になってきます。
予備疲労法では、どうしてもコンパウンド種目の使用重量は下がってしまいます。
いわば、重量と引き換えにメインターゲットへの刺激と意識を高めるというのが予備疲労法です。
その点、筋力の向上を目的としている方には予備疲労法は向かないと言えるでしょう。
逆に狙った部位を意識しにくくなることも

胸トレを参考にすると、アイソレーション種目によって大胸筋がやや疲労した状態でコンパウンド種目に入っていきます。
となるとコンパウンド種目で大胸筋の力を発揮しづらく、腕に意識がいき上腕三頭筋を予備疲労法ではないトレーニング以上に働かせてしまうことも考えられます。(肩周りや前腕に過度な力が入り大胸筋をストレッチさせにくくなることもあります)
コンパウンド種目の良さを阻害することも

BIG3をはじめとするコンパウンド種目のメリットは、高重量を扱える点にあります。
2つ以上の関節や筋肉を動員することでより大きな力を生み出すのがコンパウンド種目の醍醐味。
しかし、予備疲労法を取り入れると疲労が溜まった状態でコンパウンド種目を行うことになります。
すると、予備疲労法を取り入れない場合に比べて、扱う重量が落ちることが考えられます。
その結果として、筋トレのボリュームの低下につながります。
そのような点から、予備疲労法を取り入れるのであれば、先に行うアイソレート種目は、基本的に追い込みきるのではなく、1RMの30%ほどで15回を3セットほど行いパンプさせる程度が無難かと思われます。
そうすることで、次に行うコンパウンド種目で扱う重量の低下を防ぐことも可能になります。
予備疲労法のやり方

筋トレは基本的には、
コンパウンド種目(複数の関節が関与する種目)
↓
アイソレーション種目(ひとつの関節のみを動員する種目)
という順番でトレーニングしていくのが一般的です。
コンパウンド種目には、一度の動きに多くの筋肉が動員されるため高重量を扱いやすいという特徴があります。
一方アイソレーション種目には、動員される筋肉が少ないため、ピンポイントでターゲットを狙いやすいというメリットがあります。
コンパウンド種目で高重量を扱ってボリュームを稼ぎ、アイソレーション種目で狙った部位を追い込んで仕上げるというのが一般的な筋トレの流れです。
先にアイソレーション種目を行ってしまうと、疲労がたまってメインのコンパウンド種目の質が下がってしまいます。
この真逆のアプローチでトレーニングしていくのが予備疲労法です。
つまり、あえて先にアイソレーション種目でターゲットの筋肉を刺激しておくことでコンパウンド種目での補助筋の関与を抑え、メインターゲットにより効かせやすくするというのが予備疲労法のポイントです。
例えば、ベンチプレスを例に挙げてみましょう。
ベンチプレスのメインターゲットは大胸筋ですが、補助筋として上腕三頭筋や三角筋前部なども使われます。
いきなり1種目目にベンチプレスを行うと、大胸筋より先に上腕三頭筋や三角筋に疲労が溜まり、大胸筋にうまく刺激を与えられないことがあります。
そこで予備疲労法では、あえて先に胸のアイソレーション種目を行い、大胸筋に適度な疲労を溜めておきます。
その後ベンチプレスに移ることで、補助筋に疲労が溜まる前に大胸筋を追い込みきることができるというわけです。
具体的な筋肉部位別のメニュー例

こちらでは、予備疲労法の具体的なメニュー例を筋肉の部位別に紹介します。
1.大胸筋の予備疲労法
2.背筋群の予備疲労法
3.三角筋の予備疲労法
4.上腕三頭筋の予備疲労法
5.上腕二頭筋の予備疲労法
6.下半身の予備疲労法
それぞれについて詳しく解説します。
大胸筋の予備疲労法

大胸筋を予備疲労法で追い込む場合は、アイソレーション種目のダンベルフライまたはマシンフライで事前に大胸筋を疲労させておき、腕立て伏せ・ダンベルプレス・ベンチプレス・マシンチェストプレスなどの大胸筋が主働となるコンパウンド種目を行います。
・チューブチェストフライ
・ダンベルフライ
・ケーブルフライ
・ケーブルクロスオーバー
・マシンチェストフライ
・腕立て伏せ
・チューブチェストプレス
・ダンベルプレス
・バーベルベンチプレス
・マシンチェストプレス
・スミスマシンベンチプレス
各種目の詳しいやり方は、以下の記事で解説しています。
背筋群の予備疲労法

背筋群(僧帽筋・広背筋)を予備疲労法で追い込むためには、ショルダーシュラッグ(僧帽筋)・リバースフライ(広背筋)などのアイソレーション種目をあらかじめ行い、その後に懸垂・ダンベルローイング・ベントオーバーロー・ケーブルラットプルダウンといったコンパウンド種目を行います。
・チューブリバースフライ
・チューブショルダーシュラッグ
・ダンベルリバースフライ
・ダンベルショルダーシュラッグ
・バーベルショルダーシュラッグ
・懸垂
・チューブラットプル
・チューブローイング
・ダンベルローイング
・バーべルベントオーバーロー
・ケーブルラットプルダウン
・ケーブルローイング
・T-バーローイング
各種目の詳しいやり方は、以下の記事で解説しています。
三角筋の予備疲労法

三角筋を予備疲労法で追い込むためには、フロントレイズやサイドレイズなどのアイソレーション種目を先に行い、その後にショルダープレス系やアップライトローイング系のコンパウンド種目を行います。
・チューブフロントレイズ
・チューブサイドレイズ
・チューブリアラテラルレイズ
・ダンベルサイドレイズ
・ダンベルフロントレイズ
・ダンベルリアラテラルレイズ
・ケーブルデルタレイズ
・パイクプッシュアップ
・チューブショルダープレス
・チューブアップライトロー
・ダンベルショルダープレス
・ダンベルアップライトロー
・バーベルショルダープレス
・バーベルアップライトロー
・マシンショルダープレス
各種目の詳しいやり方は、以下の記事で解説しています。
上腕三頭筋の予備疲労法

上腕三頭筋を予備疲労法で追い込むためには、まずフレントプレス(トライセプスエクステンション)・ダンベルキックバック・ケーブルプレスダウンなどのアイソレーション種目を事前に行い、その後にダイヤモンド腕立て伏せ・ダンベルトライセプスプレス・ナローグリップベンチプレス系といったコンパウンド種目を実施します。
・チューブトライセプスエクステンション
・チューブキックバック
・ダンベルフレンチプレス
・ダンベルキックバック
・バーベルフレンチプレス
・ケーブルプレスダウン
・ローププレスダウン
・ディップス
・ダンベルトライセプスプレス
・バーベルナローベンチプレス
各種目の詳しいやり方は、以下の記事で解説しています。
上腕二頭筋の予備疲労法

上腕二頭筋を予備疲労法で追い込むには、各種カール系のアイソレーション種目をあらかじめ実施し、その後で逆手懸垂や逆手ラットプルダウンといったコンパウンド種目を行います。
・チューブカール
・ダンベルカール
・バーベルカール
・ケーブルカール
・逆手懸垂
・チューブドラッグカール
・バーベルドラッグカール
各種目の詳しいやり方は、以下の記事で解説しています。
下半身の予備疲労法

下半身の筋肉を予備疲労法で追い込むためには、レッグエクステンション(大腿四頭筋)やレッグカール(ハムストリングス)などのアイソレーション種目を事前に行い、その後、自重スクワットやレッグプレスなどのコンパウンド種目を実施します。
なお、バーベルスクワットは転倒などのリスクが高すぎるため避けたほうがよいでしょう。
・シシースクワット
・チューブレッグエクステンション
・チューブレッグカール
・ダンベルレッグエクステンション
・ダンベルレッグカール
・マシンレッグエクステンション
・マシンレッグカール
・マシンアダクション
・スクワット
・ブルガリアンスクワット
・チューブスクワット
・チューブレッグプレス
・ダンベルスクワット
・ダンベルランジ
・ダンベルサイドランジ
・バーベルスクワット
・マシンレッグプレス
・スミスマシンスクワット
各種目の詳しいやり方は、以下の記事で解説しています。
まとめ

今回は、特定の筋肉をターゲットにして集中的に追い込みオールアウトする予備疲労法について解説しました。
高重量のコンパウンド種目を行いにくいというデメリットはあるものの、メインターゲットへの刺激や筋肉への意識を考慮すると、かなり効果的なトレーニングテクニックです。
予備疲労法を上手く取り入れて、理想の身体を目指しましょう!
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